ファイブフォース分析で会計事務所業界を考える
2018.02.12
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ファイブフォース分析とは、バーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授によって開発された、特定の業過の特徴や収益構造を分析し、事業戦略を練るための「フレームワークツール」です。
フォースは『脅威』という意味です。
ファイブフォース分析を簡単にいうと、以下のようになります。
「企業を取り巻く脅威を知り、業界の収益構造を明らかにするための分析」
ポーターは企業の競争要因(脅威)を5つに分類しました。
そして、この5つの競争要因を分析することによって、企業の競争優位性を決める構造特徴を、明らかにすることができると主張したのです。
特に、「持続的競争優位」は何をもって担保できるのか?考えたいですね。
ポーター教授の5つの競争要因(脅威)とは以下の5つです。
会計事務所市場で見た場合
1. 既存同業者との敵対
都心の事務所と地方事務所とでは、敵対の仕方が違うように気がします。
都心では、サービス面での差別化が必要。理由は、選択できる会計事務所がたくさんあるからです。
地方では、その地域でのブランディングが大きなファクターになると思います。
○○県○○市「No1事務所」と表現できるとお客様は、安心してお任せできそうです。
都心・地方どちらも、事務所ブランディングは必要だと。
2. 新規参入企業の脅威
賛否両論あると思いますが、いままでは、ほとんどなかったような。
これからは、銀行さんですかね。特に地銀、信金さん。
オペレーション業務は、この業界と同じくAI化が進むので、銀行員は、人と人とのコミュニケーションが必要な分野に進出されるでしょう。
また、営業力豊かな保険パーソン(生命保険・損害保険)も中小企業経営者とのコミュニケーションを図っておられるので、企業の問題解決をサービスとして認知すれば、どんどん算入されると思われます。
3. 代替品の脅威
言わずもがな、オペレーション業務の記帳代行、簡易な申告業務は、テクノロジーの進化で会計事務所職員の手から離れることでしょう。
4. 売り手の交渉力
本当は、会計事務所の仕入先は、力もあり売り手のパワーは大きいと思います。しかし、エンドユーザーである中小企業あるいは個人の数も多いので、3の代替品の脅威と融合してどのような世界になるのかがポイントだと思います。
5. 買い手の交渉力
お客様のニーズは多様化し、情報多寡の時代。かつ、AI技術を持ったお客様であれば、3のテクノロジー進化を有効に機能させることでしょう。
その場合、会計事務所の存在意義は何になるのか?今一度、考えなければいけません。
このように、ポーター教授の5フォース分析で会計事務所業界を見てゆくと
これからの5年間は、とても大きな変化が起こりそうで、ワクワクします。
なんで、ワクワクするかと言いますと、環境変化するところにチャンスがあるからです。
私たち、中小企業の資源は限られています。
人、金、モノと言われますが、ほとんど人です。
つまり、メンバーと一緒にどの変化をチャンスととらえて時間投入するかを意思決定しなければいけません。
志ある、たくさんのメンバーに恵まれるとその実現可能性は高まるのも事実。
そうなると、人材採用・人材育成の課題への着手が必要となり、結局、人材戦略が重要だという結論に至ります。
正しい答えがないからこそ、チャレンジしたくなりますね。